ショーケース
2002年11月

総合アミューズメントホール
ルネックスパーク森町店

パチンコ店にインテリジェントライティングシステムを導入した事例を御紹介します。
大分市にあるパチンコアミューズメントホール「ルネックスパーク」は常に斬新な演出アイディアを打ち出し続けていることで業界でも有名なホール。 ここには従来より(株)テレサイトアイ殿開発のムービングカメラチェイスシステムが導入されており、各パチンコ/スロット台から大当たりの情報を受けて、その台をカメラが自動的に館内のモニターに写し出すというシステムがありました。

今回は、それをもっと発展させた形、しかも目を引くような演出が欲しいというオーナー様の御要望から検討を重ねていった結果、Futurelight MH-860をメインシステムとしたムービングヘッドを導入することになりました。

その時の条件となったのが、「大当たり信号と連動して、その台をチェイスし、フラッシュさせたり状況によってはカラーやゴボ(模様)を変えるなどエフェクトを効果的に使うこと」だったのです。
当社スタッフが頭を悩ませ、しかも設計期間が非常に短い(3週間)ということで、激動のスタートとなりました。
度重なる工程会議に何も提案することが出来ず、非常に苦悩の毎日....
問題は、

  1. パチンコ台とスロット台合わせて約1,000台あり、台の位置情報をどのようにして正確に出すか。
  2. 特賞信号をどのようにして受け取るか。
  3. 特賞信号を受けた後、そのままスポットが向かうのはお粗末だ。せめてチェイス後にしたい。
  4. パチンコゾーンとスロットゾーンは完全に分かれており、各々のゾーンで別々の動きが必要。ただし、使えるコンソールは1台のみ。
  5. ランプ点灯から開店、各種イベントタイム、閉店、ランプ消灯までを完全自動化させなければならないこと。
  6. プログラム納期の問題。灯体自体はすぐにでもお届けできるが、プログラムをカスタマイズするのに2週間ではとてもじゃないけど無理。

はっきり申し上げますが、この仕事を1年前の当社であれば何も提案できなかっただろうなといまさならがらにして思ったりもします。(笑)


この山積する問題を全て解決したのが、今回のコアとなった[e:cue](アイ・キュー)ファミリーの製品群。

e:cueはPCをベースにしたライティングデザインコンソールですが、通常のPCコントローラーと違い、非常に建築照明系のプロジェクトを意識した造りとなっています。 つまり、ステージ照明の機能だけでなく、各種制御機能を満載したコンソールです。

e:cueファミリーはPCにインストールされたprogrammer(プログラマー)ソフトウェアでデザインを行い、それをmediaengine(メディアエンジン)プレイバックユニットにデータをアップロードして、mediaengineが全てのDMX信号を単体で発信する、という仕組みになっており、納品段階でPCは不要となります。 mediaengineはLinuxOSがベースで動いており、単体でブート、TCP/IPでの接続が可能であり、必要ならば別にDNS(ドメインネームサーバー)を経由するだけで、インターネットで当社から遠隔メンテナンスが実現するというまさにハイテク器材。
ここまではわかったけど、さらに問題が.....

このe:cueファミリーはドイツの製品で、当時マニュアルがドイツ語だったのです!
試行錯誤でのオペレーション練習、プログラミングなどを含めて残された時間は1週間。また、地理的にも遠い位置にあるため、実際インスタレーションを行った後でのプログラミングはできません。
ここで、またソフトウェアの力を借りることになります。e:cue製品をサポートしているCapture3.0レンダリングソフトウェアです。 現在、Programmer3.1はCAST WYSIWYGソフトウェアと平行してCapture3.0に情報をプロバイディングしています。 非常に強固な連係が出来上がっており、机上検討はすべてこのCaptureによって行われました。
さて、前述の問題をどのようにして解決したか、そのソリューションを紹介します。


  1. パチンコ台とスロット台合わせて約1,000台あり、台の位置情報をどのようにして正確に出すか?

    Programmerはシーンの記録が非常に簡単であり、位置を決めて[R]ボタンを押すだけで完了します。
    従って、パチンコレーンにそのPCをもっていき位置を決めてどんどんキューリストに名前と共に入力していきます。 各灯体はレーンの中心部についており、レーン端までの距離は両端35m以上です。
    Futurelight MH-860はMSR575を使ったムービングヘッドで、従来製品に比べ光学系にかなりの改良が施されており、ズームおよびアイリス機能と併用することにより遠くの距離まで確実にスポットします。 当初パチンココーナー側が全照明蛍光灯であることで色温度差と照度が懸念されましたが、その懸念を簡単にクリアーしてしまいました。 2つのキューリストにパチンコ台620台、スロット台320台がそれぞれ入力されました。
    この2つのキューリストは、台番号がキュー名称として登録し、「ある台番より上の数字であればキューリスト2を、それ以外では1を」といったマクロを実行させることで複数のゾーンに分けて再生できるようにしています。

  2. 特賞信号をどのようにして受け取るか?

    e:cue mediaengineはRS232C,SYMPTE,MIDI, RELAY,TCP/IPなどさまざまなプラットフォームからの制御を可能としているメディアプレイヤーです。 今回はパチンコ側につながっているコンピュータの出し信号がRS485であったことから、これをRS232Cに変換し、ASCIIテキストで受信した文字をトリガー信号とすることにしました。 どのようなタイプの信号でもmediaengineはあらゆる可能性をもって対応し、また複数のインターフェースを必要に応じて組み合わせることによってさらに高度な制御システムを構築することができることを実証しました。

  3. 特賞信号を受けた後、そのままスポットが向かうのはお粗末だ。せめてチェイス後にしたい。

    e:cue programmerのキモとなる部分です。 これは、programmer上の機能にある[touch][untouch]機能を使って実現しています。 同時に2つのキューリストを再生した場合、同じ灯体の同じチャンネルのうち、どちらかのキューのみ除外することができる機能、これが[untouch]です。 これを使うことにより同時に走る2つのキューリストはレイヤーで重ねたかのように動くことができます。 今回の事例では、カラーやゴボのデータをキューリストに入れ、PAN/TILT/ZOOM/FOCUSは[untouch]にし、先ほどの位置決めを行ったキューリストを重ね合わせることにより実現しています。 これなら、ある時にゴボやカラーだけ変えたいときなどは[untouch]側のキューリストを操作するだけです。 最終的にはこの機能がカギになり、現場での打ち込み時間を大きく短縮させるのに貢献しました。

  4. パチンコゾーンとスロットゾーンは完全に分かれており、各々のゾーンで別々の動きが必要。ただし、使えるコンソールは1台のみ。

    これも、mediaengineのマクロ機能によって実現しています。 灯体は基本的にmediaengineからDMXでシリーズ接続されており(つまり1本のケーブルのみで)、ソフトウェア上で2つのゾーンにグループ分けを行い、それぞれ別のタイムイベントを行うことにより処理しています。 また、特賞信号受信時のイベントも同じで、台スポット位置のキューリストも2つのゾーンで別々に作成し、マクロで切り分けを行っています。

  5. ランプ点灯から開店、各種イベントタイム、閉店、ランプ消灯までを完全自動化させなければならないこと。

    mediaengineには「タイムイベント機能」というものがあり、内部時計を使ったトリガーイベントが可能です。 また、日の出/日の入時刻を自動計算する機能もあり、それを使えば「夕方のタイムバーゲン」や「夜間だけの点灯」などに応用することが可能です。 それぞれのタイムイベントは、「いつ」「どういった状況の時に」「何が」「どうして」「最終的にこうする」までをダイアログで設定できる仕組みになっており、初心者にも分かりやすい設計になっています。 今回はマクロイベントも含め、13のイベントを作成して登録しています。 ※ちなみに各キューリストはおろか1つ1つのキューに対してもイベントを付加することができます。

  6. プログラムをカスタマイズするのに2週間ではとてもじゃないけど無理。

    そうはいってもマクロをつくるのは大変です。 基本的にC言語を使っており、SEには非常に馴染みのある言語であることには変わりありませんが、非常に苦労を強いられます。 今回はドイツLiteLiife社の共同プロジェクトであり、Philipp Van Beeck氏とネットワーク上での作業を共同で行いました。 現場でオンラインでやり取りすることにより、飛躍的に作業時間を縮めることに成功、予定よりも早い納品をすることができました。 途中チェイスなどの演出手法に関して検討が重ねられ、その分時間は割かれましたが参加スタッフの連日徹夜での作業でなんとかクリア。 でも、寿命が縮まります。
    このように、オーナー様からのあらゆるアイディアを実現するためには、e:cueファミリーの製品群はもはや不可欠であることを実証したインスタレーションでありました。 ちなみに、オープン後は毎日元気に動いており、ランプ交換以外に特に目立ったトラブルは見られません。(2003年1月10日現在)

この場をお借りしまして、今回のクライアントである大林観光様、施工に関係していただいた節設計をはじめとする関係スタッフの皆様、そして今回のインテグレーターであるテレサイトアイ様に厚く感謝いたします。

○インストール機材データ
Futurelightムービングヘッド MH-860×11台
e:cue mediaengineマルチメディアコントローラー
○システムインテグレーション
株式会社 テレサイトアイ(岡山県岡山市)
○設計業務/施工管理
有限会社 節総合設計(福岡県福岡市)