ショーケース
2003年12月

総合アミューズメントホール
ルネックスパーク都町店

9月も終わりになろうという頃、いつもお世話になっている(株)テレサイトアイ木村社長から電話があった。 「あれ、またやるからな。」
あれ、というのはこのギャラリーでも紹介しているパチンコホールでの演出照明オートメーションだ。 今回は九州でも有数の繁華街の1つとして数える大分市都町に新築のアミューズメントホールができ、そこに導入を考えているらしい。 クライアントは前回同様、ルネックスパーク様だ。

今回の建物は2階建てになっており、1階はパチンココーナー+スロット一部、2階はスロット専門セクションだ。 特に2階のスロットコーナーはお得意の赤を基調としたインテリアデザインで、照明効果を考えて若干照度を落とし気味にしてある。
前回のインストールでは反省点があった。 実際にホールから出てくる特賞信号はこのホールでピーク8回にもなる。 特賞信号を受けてキューリストが再生されている間に外部信号のラッシュを受けると、それ以降のキューが無効になってしまうという欠点があった。 つまり、開店ラッシュや夕方のラッシュ時には確実にその台を照射することができなくなる可能性があるのだ。

かねてからそれは問題と考え、LiteLife(e:cueリリース元)の開発者、Philipp Van Beeckに相談をしていた。 システム上マクロプログラムで動かすのが適当であるが、どういうコマンドが理想的で「システム的に落ちない」のかが全く不明だったからだ。

インストールまで数日になろうかという頃、最終のソリューションを固めた。 それは、

  1. プログラム上で特賞信号のASCIIデータをどこかにバッファリング(保存)する。
  2. 別のマクロを作成し、現在プログラムが走っているかどうかを毎秒チェックする。
  3. キューが走行していれば終わるのを待ち、キューがストップしていれば次を出す。

ということ。 Philippが基本プログラムを作成し、こちらがそれを再構築する形でマクロ作成が行われた。 パチンコという文化が存在しないヨーロッパ、しかもドイツでこんなシステムを考えているのは多分自分だけだと豪語するPhilipp。 彼は天才的なLinuxプロフェッショナルだ。

さて、下の写真を解説することにする。 前回同様スポットのキュー打ちには別製e:cueラック"がんばれ西やん"がセットアップされた。 これは単にホームセンターで2,980円+αで売られていたスチールラックに必要な機材をすべて固定しホール内をうろうろするもので、パチンコ台の位置情報を定義するには必須アイテムだ。 合計630台あるすべてのパチンコ/スロット台に立ち、いちいちその情報を1つのキューとして定義するため、実質キューは630個分必要になる。 PCだけでできなくもないが、ダイヤルホイールがあるfaderunitを使えば非常に便利である。 ラック中段にあるメディアエンジン本体はオートメーション機能がきちんと働くことを確認してから設置場所に移す。 この状態では、オンラインで直にDMX信号を灯体に引っ張れるので便利きわまりない。


こちらは2Fのスロットコーナー。
2Fには合計4台のMH-680が天井から吊られている。
MH-680は5段階のズームが装備されており、より遠くの台に向かっても確実にスポットを照射できるからだ。 また、ヘッド部分が非常に軽いためMH-860と比較してリズミカルな動きが期待できることで、プログラミングの範囲を大幅に拡げることも忘れてはいけない。

今回は「大人のアミューズメント空間」を意識し、開店時や閉店時などビジターが移動のときには緩やかな動きをさせ、従来のディスコにありがちな激しい演出は極力控える代わり、Jack Spotプログラムだけはド派手な演出にした。 メリハリがある方がビジターにとって違和感がなく、またプレイ中でも邪魔にならない。


実は今回、もう1つの演出が待ち構えていた。
LEDを回転させて残像を見せるiBallは有名だが、これの壁掛け巨大バージョンとも言おうか、"Wallscreen"なるアイテムを設置することである。
PLASAで撮影したSpace Writeの画像を見せると即座に決定してしまった。
Wallscreenは様々な画像をラウンドしたりフラッシュさせたりする面白い広告装置で、アイディア次第では様々な場所での応用が可能になる。
ちなみにAVIファイルのアニメーションの再生も限定ではあるが可能で、ここまでくるとハードウェアというよりコンテンツがほぼすべてということになる。


そしていよいよ開店日。
私たちは当日朝から現場に駆けつけ、開店の瞬間を見守った。
オープン3時間前には写真の通り長蛇の列がならび、最高の厳戒態勢で警備にあたっている。そして開店。
30秒後には特賞信号が立て続けに出始め、それぞれをくまなくMH-680が追いかけていく様を観察する。
今回のJACKSPOT Version2では、1秒間に最大8つまでの特賞信号を同時に受け付けることができ、それらをPC内部のバッファから呼び出す仕組みになっている。 前回での反省点をもとに、新たなジェネレーションとしてリリースができた。
改めて考察するe:cueのシステムは、プログラムの簡易さと柔軟さがアイディアをそのまま形にでき、こういった現場においての開発は非常に有利であることが実証された。

□Special Thanks to:
施主: 大林観光株式会社様
システムインテグレーション: 株式会社テレサイトアイ
建築設計:有限会社 節総合設計様